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遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~

第4章 求め合う心

 何でも女房の亭主が生きていた頃、ソギョンが一度、亭主を助けたことがあるという。
亭主が博打で拵えた借金の一部を隣に住んでいるという―ただそれだけの誼(よしみ)で肩代わりしてやったというのだ。
 当時はソギョンとヨンオクの二人だけで働いていたから、収入は今よりもっと苦しかったはずだ。なのに、ソギョンは躊躇いもせず亭主の借金を無利子で肩代わりしてやった。残りの金は亭主と女房それぞれの親戚を回って方々から寄せ集めて賄ったが、女房に言わせれば、
―うちの人があの時、見せしめのために半殺しにならないで済んだのも、ソギョンのお陰さ。
 ということらしい。
 女房は、そのときのソギョンへの感謝を今も忘れてはいない。
 昼間は隣家の女房に任せておけば何とかなるし、ソルグクもこれまでよりは少し早めに帰るようにすると言っている。

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