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遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~

第4章 求め合う心

「いや、何も咎めているわけではないから、安心して。むしろ、思わぬ役得というところかな」
「は?」
 梨花は男の言葉の意味を計りかね、当惑する。
「あ、あの」
「何だい?」
 おずおずと切り出した梨花に、男は優しい眼を向けた。
 梨花は両手を胸の前で組んだ格好で、男を見上げる。
「お願いです。若(トル)さま(ニム)には、このことは内緒にして頂けませんか?」
 男は思わぬことを言われ、面食らったようだ。
「それは、どうして?」

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