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遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~

第4章 求め合う心

 その言葉が、南斗は忘れてはいないのだと何より物語っている。恐らく、優しい彼のことだから、梨花に余計な気遣いをさせまいと、わざと忘れたふりをしているのだろう。
 南斗の労りが身に滲みた。
 しばらく雨の音だけが続いた。まるで、この広い世界に、南斗と二人だけでいるような錯覚に囚われてしまう。

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