遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第5章 凍れる月~生涯の想い人~
昼間は二人ともに忙しく、それぞれの仕事に忙殺され、ろくに話をする時間もないままに過ぎた。途中、何度か顔を合わせた隙に、走り書きについて訊ねることもできのだけれど、走り書きには、はっきりと〝誰にも知れたくない、話せない大切な話〟と書いてあった。
ゆえに、誰が耳をそばだてているか知れない場所で、あからさまに問うのは、はばかられたのだ。何より、友の信頼を裏切りたくなかった。
それで、つい訊きそびれてしまった。
チョンハとは別室だったため、本当に彼女が書いた手紙か―、彼女もまた部屋をこっそりと抜け出しているのかを確かめるすべもない。チョンハの部屋を覗いたりして、他の誰かに勘づかれても困るのだ。
結局、約束の時間にここまで来ることになってしまった。
ゆえに、誰が耳をそばだてているか知れない場所で、あからさまに問うのは、はばかられたのだ。何より、友の信頼を裏切りたくなかった。
それで、つい訊きそびれてしまった。
チョンハとは別室だったため、本当に彼女が書いた手紙か―、彼女もまた部屋をこっそりと抜け出しているのかを確かめるすべもない。チョンハの部屋を覗いたりして、他の誰かに勘づかれても困るのだ。
結局、約束の時間にここまで来ることになってしまった。