遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第5章 凍れる月~生涯の想い人~
今となっては、父の回復だけが梨花にとっては慰めであった。たとえ、ここで自分は死んだとしても、父が再び動けるように―床に起き上がれるまでにでもなれば、この屋敷に奉公に来た甲斐もあったというものだ。
ソヌが梨花の身体を押し倒した。その弾みに背中をしたかかに打ちつけ、鋭い痛みが走った。
ソヌは梨花に惚れていると繰り返しているけれど、梨花にしてみれば、好きな相手に力ずくで従わせ身体を奪おうとするなど信じられない行為だ。所詮は己れの欲望だけで女の身体を欲しいままにする卑劣な行為を正当化するための言い訳にすぎない。
ソヌの唇が梨花の唇を塞ぐ。
「あ―」
梨花は悲痛な声を上げた。
苛立ったソヌは何とかして梨花の唇をこじ開けようとしているが、梨花は固く唇を噛みしめて侵入を拒んでいた。
ソヌが梨花の身体を押し倒した。その弾みに背中をしたかかに打ちつけ、鋭い痛みが走った。
ソヌは梨花に惚れていると繰り返しているけれど、梨花にしてみれば、好きな相手に力ずくで従わせ身体を奪おうとするなど信じられない行為だ。所詮は己れの欲望だけで女の身体を欲しいままにする卑劣な行為を正当化するための言い訳にすぎない。
ソヌの唇が梨花の唇を塞ぐ。
「あ―」
梨花は悲痛な声を上げた。
苛立ったソヌは何とかして梨花の唇をこじ開けようとしているが、梨花は固く唇を噛みしめて侵入を拒んでいた。