遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第5章 凍れる月~生涯の想い人~
「教えてくれ、梨花。そなたを私のものにするには一体、どうしたら良いのだ?」
梨花が弾かれたように面を上げた。
視線と視線が切なく交わる。
「ソヌに申したのは、すべて真のことだ。嘘偽りはひと欠片もない。私はそなたを愛している。ふた月前、初めて町で出逢ったときから、ずっと、そなたを忘れられなかった」
「若さま、ソヌの言ったことは、けして間違ってはおりません」
その何げない言葉に、南斗の顔が険しくなった。
「それは、どういう意味だ? 私のそなたへの想いは所詮、儚いもので、私は快楽を求めるためだけに甘い科白でそなたを騙しているとでも?」
「いいえ」
梨花は首を振る。
「若さまがそのような不実な方でないのは、私はよく存じ上げております」
梨花が弾かれたように面を上げた。
視線と視線が切なく交わる。
「ソヌに申したのは、すべて真のことだ。嘘偽りはひと欠片もない。私はそなたを愛している。ふた月前、初めて町で出逢ったときから、ずっと、そなたを忘れられなかった」
「若さま、ソヌの言ったことは、けして間違ってはおりません」
その何げない言葉に、南斗の顔が険しくなった。
「それは、どういう意味だ? 私のそなたへの想いは所詮、儚いもので、私は快楽を求めるためだけに甘い科白でそなたを騙しているとでも?」
「いいえ」
梨花は首を振る。
「若さまがそのような不実な方でないのは、私はよく存じ上げております」