遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第5章 凍れる月~生涯の想い人~
突如、梨花は南斗にきつく抱きしめられた。まるでが込み上げてきた愛しさを抑えかねたように、南斗は梨花の背中に回した腕に力をこめる。
「若さま、痛いです」
梨花が訴えると、南斗が頷いた。
「そうだな、済まない。だが、海棠。こうして、この腕に抱いているときだけ、そなたを私のものだと思えるのだよ。この腕を放してしまえば、そなたが二度と私の許には帰ってこぬような気がする」
南斗が囁き、ふと思い出したように袖から小さな巾着を取り出した。
牡丹色の巾着を開くと、ノリゲが現れる。平べったい円形の玉石の下に長い房が垂れていて、房の色は白と薄い蒼に染め分けられていた。
梨花は乳白色の石を掌(たなごころ)に乗せ、しげしげと見つめる。
「これを私に?」
「若さま、痛いです」
梨花が訴えると、南斗が頷いた。
「そうだな、済まない。だが、海棠。こうして、この腕に抱いているときだけ、そなたを私のものだと思えるのだよ。この腕を放してしまえば、そなたが二度と私の許には帰ってこぬような気がする」
南斗が囁き、ふと思い出したように袖から小さな巾着を取り出した。
牡丹色の巾着を開くと、ノリゲが現れる。平べったい円形の玉石の下に長い房が垂れていて、房の色は白と薄い蒼に染め分けられていた。
梨花は乳白色の石を掌(たなごころ)に乗せ、しげしげと見つめる。
「これを私に?」