遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第5章 凍れる月~生涯の想い人~
何の力もない梨花には、ただ南斗の変わらない愛情だけが頼りであり、支えであった。彼の心が変わらない限り、梨花もまた心を強く持ち、彼についてゆけるのではないか―、混沌とした未来に一縷の希望を見出したような気がしたのだ。
「若さまから頂いたこのノリゲを大切にします。ずっと、肌身離さず持っています。私たちの想いが実るその日まで」
梨花は白い玉石に触れた。
ひんやりとした心地良さが石から伝わってくる。そのかすかな冷たさが、波立っていた心を鎮め、理性と落ち着きを取り戻してくれるように思える。
「海棠」
抱き寄せられるままに南斗の胸に顔を埋める。
雪の朝は、とても静かだ。降り積もった雪がすべての物音を吸い取るのだろうか。
背後で屋根に積もった雪が落ちる音が余計にその場の静寂を感じさせる。
二人はいつまでも静かに抱き合っていた。
「若さまから頂いたこのノリゲを大切にします。ずっと、肌身離さず持っています。私たちの想いが実るその日まで」
梨花は白い玉石に触れた。
ひんやりとした心地良さが石から伝わってくる。そのかすかな冷たさが、波立っていた心を鎮め、理性と落ち着きを取り戻してくれるように思える。
「海棠」
抱き寄せられるままに南斗の胸に顔を埋める。
雪の朝は、とても静かだ。降り積もった雪がすべての物音を吸い取るのだろうか。
背後で屋根に積もった雪が落ちる音が余計にその場の静寂を感じさせる。
二人はいつまでも静かに抱き合っていた。