遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第6章 兄の心
「止してよ、深間だなんて」
梨花の白い頬がうっすらと上気する。
現実として、南斗と梨花はまだ口づけより先に進んではいない。昼夜問わず逢瀬を重ねるといっても、寄り添って手を握り合うか、様々な話をするだけだ。南斗は学問は嫌いだというけれど、なかなか博識家であった。
梨花の知らない色んなことを知っていて、彼の話を聞いていると、刻の経つのも忘れてしまう。
―海棠、私はそなたを大切にしたい。だから、祝言の夜まで待つよ。本当にそなたが私のものになると確信を持てるそのときまで、そなたを抱かない。
いつか、南斗がそんなことを真摯な瞳で告げたことがあった。
ソルグクは妹の恥じらう様子で、想像を逞してしまった。
「おっ、お前。まさか、もう、そいつと出来てるんじゃないだろうな。海棠、正直に言え、その男と寝たのか?」
梨花の白い頬がうっすらと上気する。
現実として、南斗と梨花はまだ口づけより先に進んではいない。昼夜問わず逢瀬を重ねるといっても、寄り添って手を握り合うか、様々な話をするだけだ。南斗は学問は嫌いだというけれど、なかなか博識家であった。
梨花の知らない色んなことを知っていて、彼の話を聞いていると、刻の経つのも忘れてしまう。
―海棠、私はそなたを大切にしたい。だから、祝言の夜まで待つよ。本当にそなたが私のものになると確信を持てるそのときまで、そなたを抱かない。
いつか、南斗がそんなことを真摯な瞳で告げたことがあった。
ソルグクは妹の恥じらう様子で、想像を逞してしまった。
「おっ、お前。まさか、もう、そいつと出来てるんじゃないだろうな。海棠、正直に言え、その男と寝たのか?」