遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第6章 兄の心
梨花は苦笑いを浮かべる。
「やあねえ、下品な言い方は止めてよ」
だが、ソルグクは言葉遣いなど、この際、頓着しないようである。
「言い方なんぞ、どうでも良い。おい、海棠、これは大切なことなんだぞ? 親父が寝たきりになっちまった今、俺はお前の兄である前に、父親代わりだ。俺には、お前が幸せになるのを見届ける義務と責任がある。結婚するなんて話が出るような仲の男がいるのなら、俺にちゃんと紹介するべきだろう」
梨花はうつむいた。
ソルグクが矢継ぎ早に質問を繰り出してくる。
「それで、相手はどこの誰なんだ? お屋敷に上がるまでは恋人の一人だっていなかったんだから、深間になったのは尹さまのお屋敷に仕え始めてからなんだろうな。あそこは使用人の数も半端じゃないし、若い下男も多いから、もしかしたら、そういうことになるんじゃないかとも思ってたんだ」
「やあねえ、下品な言い方は止めてよ」
だが、ソルグクは言葉遣いなど、この際、頓着しないようである。
「言い方なんぞ、どうでも良い。おい、海棠、これは大切なことなんだぞ? 親父が寝たきりになっちまった今、俺はお前の兄である前に、父親代わりだ。俺には、お前が幸せになるのを見届ける義務と責任がある。結婚するなんて話が出るような仲の男がいるのなら、俺にちゃんと紹介するべきだろう」
梨花はうつむいた。
ソルグクが矢継ぎ早に質問を繰り出してくる。
「それで、相手はどこの誰なんだ? お屋敷に上がるまでは恋人の一人だっていなかったんだから、深間になったのは尹さまのお屋敷に仕え始めてからなんだろうな。あそこは使用人の数も半端じゃないし、若い下男も多いから、もしかしたら、そういうことになるんじゃないかとも思ってたんだ」