遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第6章 兄の心
「尹南斗という男は、不幸の星を背負っている。あの男と結婚すれば、お前までもがその不幸に巻き込まれるぞ」
梨花が烈しい眼で兄を睨む。
「何よ、それ。お兄ちゃんは、いつから占い師になったの? 南斗さまの顔をひとめ見て、あの方の運勢を見抜いたとでも?」
「皮肉を言わないでくれ。俺は見たまま感じたままを言っているだけだ」
「一体、何を根拠に若さまが不幸の星を背負っているだんなんて判るのよ」
ソルグクは彼らしくもない気弱な笑みを刻んだ。
「勘だ。俺の中の何かが、あの男だけは止めた方が良いと告げてる」
「話にならないわ」
梨花は呆れたように首を振った。
「もう、良い。お兄ちゃんに話した私が馬鹿だった」
梨花はともすれば溢れそうになる涙を堪え、逃れるように兄の傍を離れた。
梨花が烈しい眼で兄を睨む。
「何よ、それ。お兄ちゃんは、いつから占い師になったの? 南斗さまの顔をひとめ見て、あの方の運勢を見抜いたとでも?」
「皮肉を言わないでくれ。俺は見たまま感じたままを言っているだけだ」
「一体、何を根拠に若さまが不幸の星を背負っているだんなんて判るのよ」
ソルグクは彼らしくもない気弱な笑みを刻んだ。
「勘だ。俺の中の何かが、あの男だけは止めた方が良いと告げてる」
「話にならないわ」
梨花は呆れたように首を振った。
「もう、良い。お兄ちゃんに話した私が馬鹿だった」
梨花はともすれば溢れそうになる涙を堪え、逃れるように兄の傍を離れた。