遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第6章 兄の心
しかし、彼は妹に何度でも同じことを言わずにはいられなかった。たとえ、徹底的に嫌われたとしても。
ソルグクの中にも、また梨花を妹としてではなく、一人の女として強く求める気持ちが渦巻いている。それでも、彼にとってのたった一人の女に厭われても、惚れた女が不幸になるのを指を咥えて見ているよりはよほど良い。
ソルグクがもどかしさのあまり、また唇を舐めた時、両開きの扉の向こうで人声が聞こえたような気がして、彼は我に返った。
慌てて立つと、扉を開けにゆく。が、扉の向こうに佇む人物を見て露骨に眉をしかめた。
「帰ってくれ」
ふいの来客―尹南斗が口を開く前に、ソルグクは断固とした口調で告げた。
「今日は、ご挨拶に伺ったのです。海棠とのことについて、ご家族の方々にお話しさせて
頂ければと思っています。こちらは、お父上(アボニム)に差し上げて下さい」
ソルグクの中にも、また梨花を妹としてではなく、一人の女として強く求める気持ちが渦巻いている。それでも、彼にとってのたった一人の女に厭われても、惚れた女が不幸になるのを指を咥えて見ているよりはよほど良い。
ソルグクがもどかしさのあまり、また唇を舐めた時、両開きの扉の向こうで人声が聞こえたような気がして、彼は我に返った。
慌てて立つと、扉を開けにゆく。が、扉の向こうに佇む人物を見て露骨に眉をしかめた。
「帰ってくれ」
ふいの来客―尹南斗が口を開く前に、ソルグクは断固とした口調で告げた。
「今日は、ご挨拶に伺ったのです。海棠とのことについて、ご家族の方々にお話しさせて
頂ければと思っています。こちらは、お父上(アボニム)に差し上げて下さい」