遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第6章 兄の心
「私が差し上げたということはひとまず忘れて、お父上に呑ませて差し上げて下さい。本当によく効くのです」
「手前、施しは受けねえと言ってるだろうが!」
苛立たしさが頂点に達し、ソルグクが握りしめた拳を思わず振り上げたそのときだった。
「止めて!!」
悲鳴のような声が響き渡り、梨花が駆けてくる。
「お兄ちゃん、何をしているの?」
梨花は身を挺して庇うように、南斗の前に立った。
「海棠、止めるんだ。お兄さんは何もしてはいない。お兄さんが怒ったのは、土産は要らないとお兄さんが言うのに、私が置いて帰ろうとしたからだよ。これは、そなたから父上に煎じて呑ませてあげなさい」
「手前、施しは受けねえと言ってるだろうが!」
苛立たしさが頂点に達し、ソルグクが握りしめた拳を思わず振り上げたそのときだった。
「止めて!!」
悲鳴のような声が響き渡り、梨花が駆けてくる。
「お兄ちゃん、何をしているの?」
梨花は身を挺して庇うように、南斗の前に立った。
「海棠、止めるんだ。お兄さんは何もしてはいない。お兄さんが怒ったのは、土産は要らないとお兄さんが言うのに、私が置いて帰ろうとしたからだよ。これは、そなたから父上に煎じて呑ませてあげなさい」