遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第6章 兄の心
「仲が良いのは結構なことだが、そういうことは人眼につかない場所でやるものだ。店の前を通る人が眼のやり場がないと言いたげに足早に通り過ぎていたよ。店先でそんなあられもないことをされたら、客が入ろうにも入れないじゃないか」
そして、呆れたように首を振り、〝今頃の若い者は恥じらいや慎みなぞ、あったものじゃない〟と一人でぶつくさ言っていた。
「申し訳(チェソ)あり(ハム)ません(ニダ)でした」
南斗が素直に頭を下げ、梨花の肩を抱くようにして靴屋を後にした。
「良いね。家に戻っても、今日のことで、お兄さんを責めたりしてはいけないよ。何なら、今日は実家に泊まって、明日の昼までに屋敷には戻ってくれば良い。私の方から女中頭には話しておくから」
梨花は南斗の申し出をありがたく受けた。
このまま兄と喧嘩別れしたままで、お屋敷に戻りたくなかったからだ。
そして、呆れたように首を振り、〝今頃の若い者は恥じらいや慎みなぞ、あったものじゃない〟と一人でぶつくさ言っていた。
「申し訳(チェソ)あり(ハム)ません(ニダ)でした」
南斗が素直に頭を下げ、梨花の肩を抱くようにして靴屋を後にした。
「良いね。家に戻っても、今日のことで、お兄さんを責めたりしてはいけないよ。何なら、今日は実家に泊まって、明日の昼までに屋敷には戻ってくれば良い。私の方から女中頭には話しておくから」
梨花は南斗の申し出をありがたく受けた。
このまま兄と喧嘩別れしたままで、お屋敷に戻りたくなかったからだ。