遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第7章 哀しい現実
小さな顔に刻まれた無数の皺が彼の乗り越えてきた幾多の労苦を物語っているようでもある。
「チェ・ソルグクは、俺ですけど」
ソルグクが応えると、初老の男は〝ああ〟とも〝おお〟ともつかない声を洩らし、絶句した。
「偶然出くわした人が訪ね人であったとは、これも御仏のお導きかもしれない」
〝南無観世音菩薩〟、男は小さく呟き、ソルグクを見上げた。
「私は周(ジユ)星(ソン)と申します。あなたにどうしてもお伝えしなければならないことがあって、ここに参りました。少しで良いのです、手間は取らせませんから、話を聞いて貰えませんか」
自分を見上げて瞳を潤ませている男を放り出すわけにもゆかない。
ソルグクは頷いた。
「判りました。狭苦しい家ですが、どうぞお越し下さい」
「チェ・ソルグクは、俺ですけど」
ソルグクが応えると、初老の男は〝ああ〟とも〝おお〟ともつかない声を洩らし、絶句した。
「偶然出くわした人が訪ね人であったとは、これも御仏のお導きかもしれない」
〝南無観世音菩薩〟、男は小さく呟き、ソルグクを見上げた。
「私は周(ジユ)星(ソン)と申します。あなたにどうしてもお伝えしなければならないことがあって、ここに参りました。少しで良いのです、手間は取らせませんから、話を聞いて貰えませんか」
自分を見上げて瞳を潤ませている男を放り出すわけにもゆかない。
ソルグクは頷いた。
「判りました。狭苦しい家ですが、どうぞお越し下さい」