遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第7章 哀しい現実
ソルグクはジュソンと名乗る男を家に連れ帰った。父の枕辺で話すこともできず、やむなく、納戸代わりに使っていた小さな空き部屋に男を通すことにする。
梨花が子どもの時分は両親、ソルグク、梨花の四人でひと部屋に寝ていたのだが、流石に十二歳を過ぎた頃から、梨花はその小部屋で寝起きするようになった。
何しろ居間兼寝間で食事もするのだ。元々、その部屋と物置にしている小部屋しかない、小さな家である。後は煮炊きのできる小さな厨房がついているだけだ。
梨花が奉公に出てから、その小部屋は空いたままになっていた。そこにジュソンを案内すると、ソルグクは少し離れて向かい合う形で座った。
「それで、用件というのは何でしょう」
父より年配の男に丁重な口調で問うと、ジュソンは小さく首を振りながら言った。
梨花が子どもの時分は両親、ソルグク、梨花の四人でひと部屋に寝ていたのだが、流石に十二歳を過ぎた頃から、梨花はその小部屋で寝起きするようになった。
何しろ居間兼寝間で食事もするのだ。元々、その部屋と物置にしている小部屋しかない、小さな家である。後は煮炊きのできる小さな厨房がついているだけだ。
梨花が奉公に出てから、その小部屋は空いたままになっていた。そこにジュソンを案内すると、ソルグクは少し離れて向かい合う形で座った。
「それで、用件というのは何でしょう」
父より年配の男に丁重な口調で問うと、ジュソンは小さく首を振りながら言った。