テキストサイズ

遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~

第7章 哀しい現実

「私は今を去ること十一年前、当時、兵曹判書を務めていらっしゃった林大監さまにお仕えしていた者です。仕えていたといっても、家僕の一人にすぎず、私などのような者が旦那さまと直接お話しする機会は殆どありませんでしたが、我が旦那さまは、気さくなお人柄で、たまに庭でお見かけしたときには私にも親しく声をかけて下さいました。本当に良い方だったのに、何故、あんなご最期を遂げられることになったのかと思うと、無念でなりません」
 声を震わせるジュソンを見ながら、ソルグクは口を開いた。このまま延々と自分とは関わりない昔話を聞かせられては、たまったものではない。
 もしかして、この男は頭がおかしいのだろうか?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ