遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第7章 哀しい現実
「済みません、あまりに思いもかけないことだったので、つい取り乱してしまいました。大丈夫ですか?」
ソルグクの取り乱し様に、ジュソンも思うところがあったのだろう。弱々しい笑みを返してきた。
「私なら大丈夫です、気にしないで下さい」
ソルグクは質問を重ねた。
「でも、何故、林家の若君が北斗商団の大行首の息子になったのですか? その辺が俺には今一つよく判らないのですが」
ジュソンが遠い瞳になった。
「私の姉が当時、尹家の女中をしておりましたもので、そのつてを頼り、若さま共々姉の許に匿って貰ったのです。もちろん、大行首さまもそのことは、ご存じでした。知っているかどうかは判りませんが、大行首さまは懐の広い男気のあるお方です。凄腕と評されるほどの商売人ですから、商いにかけては非情な面もお持ちですが、普段は穏やかな気質の面倒見の良い方なのです」
ソルグクの取り乱し様に、ジュソンも思うところがあったのだろう。弱々しい笑みを返してきた。
「私なら大丈夫です、気にしないで下さい」
ソルグクは質問を重ねた。
「でも、何故、林家の若君が北斗商団の大行首の息子になったのですか? その辺が俺には今一つよく判らないのですが」
ジュソンが遠い瞳になった。
「私の姉が当時、尹家の女中をしておりましたもので、そのつてを頼り、若さま共々姉の許に匿って貰ったのです。もちろん、大行首さまもそのことは、ご存じでした。知っているかどうかは判りませんが、大行首さまは懐の広い男気のあるお方です。凄腕と評されるほどの商売人ですから、商いにかけては非情な面もお持ちですが、普段は穏やかな気質の面倒見の良い方なのです」