遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第7章 哀しい現実
だからこそ、今日、ここに来ました。私が死ねば、林家の若さまがこの世に生きていると知る者はいなくなる。もちろん、大行首さまのご一家は別ですが、あの方たちが若さまの素姓をばらすことはあり得ません。大行首さまも奥さまも若さまを実のお子のように思われているのですからね」
ジュソンは晴れ晴れとした表情で笑った。
「私が生きている中に、何としても、お嬢さまに兄君が生きておいでのことをお伝えしたかった。それが叶い、もうこれで思い残すことはありません。どうか、お嬢さまに兄君さまがご健在であると教えて差し上げて下さい」
お願い申し上げます。
ジュソンは床に頭がつくまで深く下げる。
ソルグクは、その白髪混じりの頭を茫然と眺めるしかなかった。
「大行首のご子息は、実の妹君が生きていることをご存じなのですか?」
ジュソンは晴れ晴れとした表情で笑った。
「私が生きている中に、何としても、お嬢さまに兄君が生きておいでのことをお伝えしたかった。それが叶い、もうこれで思い残すことはありません。どうか、お嬢さまに兄君さまがご健在であると教えて差し上げて下さい」
お願い申し上げます。
ジュソンは床に頭がつくまで深く下げる。
ソルグクは、その白髪混じりの頭を茫然と眺めるしかなかった。
「大行首のご子息は、実の妹君が生きていることをご存じなのですか?」