遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第1章 燐火~宿命の夜~
「おお、俺にも注げよ」
新顔の男が良い歳をして我も負けじと杯を差し出してくる。梨花は頷き、再び並々と注いでやった。
「おじさんもどうぞ」
梨花は、もう一人の小柄な男にも酒瓶を捧げて見せた。
「父や母を殺されたってえのに、殺した俺たちに自分から酌をするのか、お前は?」
小柄な男が訝しげに見つめる。梨花は涙の溜まった瞳で男を哀しげに見つめた。
「確かに、おじさんたちは私の父上と母上を殺した憎い仇だけれど、本当なら殺されても仕方のない私の生命を助けてくれるもの」
ふうむとまだ半信半疑で首をひねる男の杯に、梨花はたっぷりと酒を注いだ。
「さ、おじさんもどうぞ」
「俺ももっとくれ」
新顔の男が空になった杯を突き出し、梨花はまた溢れんばかりに酒を注いでやった。
新顔の男が良い歳をして我も負けじと杯を差し出してくる。梨花は頷き、再び並々と注いでやった。
「おじさんもどうぞ」
梨花は、もう一人の小柄な男にも酒瓶を捧げて見せた。
「父や母を殺されたってえのに、殺した俺たちに自分から酌をするのか、お前は?」
小柄な男が訝しげに見つめる。梨花は涙の溜まった瞳で男を哀しげに見つめた。
「確かに、おじさんたちは私の父上と母上を殺した憎い仇だけれど、本当なら殺されても仕方のない私の生命を助けてくれるもの」
ふうむとまだ半信半疑で首をひねる男の杯に、梨花はたっぷりと酒を注いだ。
「さ、おじさんもどうぞ」
「俺ももっとくれ」
新顔の男が空になった杯を突き出し、梨花はまた溢れんばかりに酒を注いでやった。