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遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~

第1章 燐火~宿命の夜~

「それにしても、可愛いなぁ。十年待たなくとも、数年でたいそうな美人になるぜ。見ろよ、この吸い付くような雪膚。触り心地もさぞ良いだろう」
 男はニヤつきながら手を伸ばし、梨花のふっくらとした頬を触る。
―気持ち悪い。
 汗ばんだ手のひらの感触に思わず嘔吐(えづ)きそうになるも、ここはひたすら堪えるしかない。

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