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遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~

第7章 哀しい現実

 やがて幼い妹はあの夜、実の父母と共に殺されたのだ―、一旦は逃げ出したが、途中で力尽きたのだろうと思い、静かな諦めが彼に訪れた。わずか六歳の幼子が乳母という庇護者を失い、世間に放り出されては一人で生きてゆける筈がない。
 それでも、この十一年間、最愛の妹を忘れたことは一度たりともなかったのだ。
 宿命は何と残酷な再会を用意していたのだろう。
 可哀想に、どれだけ辛い想いをその幼い身に抱えていたのか。
―私は昔、人を殺めたことがあります。まだ、ほんの子どもでした。ならず者たちに攫われそうになったのです。逃げるのに一生懸命で、手段を考えている余裕など全くありませんでした。止むに止まれぬ事情があったとはいえ、そのことはいまだに拭いきれない罪として重く心にのしかかっています。若さま、人の生命を奪うというのは、そういうことなのです。

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