遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第8章 終焉
国王が後宮に迎えたいと望んだほどの美貌を誇り、また、その朝鮮一の男を見事にふった心意気が彼女の名を天下にますます轟かせていた。
まさに、国を傾ける美女―傾城香月の二つ名にふさわしい派手やかな美しさを持つ女であった。
この気位の高い香月に威徳はすっかり入れあげており、翠月楼にせっせと通っては散財している。香月にも値のつけられないような玉の指輪や腕輪を贈っているが、まだ手すらも握らせて貰えていないという専らの評判だ。
「香月、ここはもう良いから、下がってくれ。少し尹どのと話がある」
威徳がぞんざいに顎をしゃくると、香月は立ち上がり、片手を胸に添え優雅に会釈した。
確かに華やかな美貌の女である。漆黒のチョゴリと眼の醒めるような緋色のチマという取り合わせは誰にでも着こなせるものではないが、香月は見事に着こなしている。
まさに、国を傾ける美女―傾城香月の二つ名にふさわしい派手やかな美しさを持つ女であった。
この気位の高い香月に威徳はすっかり入れあげており、翠月楼にせっせと通っては散財している。香月にも値のつけられないような玉の指輪や腕輪を贈っているが、まだ手すらも握らせて貰えていないという専らの評判だ。
「香月、ここはもう良いから、下がってくれ。少し尹どのと話がある」
威徳がぞんざいに顎をしゃくると、香月は立ち上がり、片手を胸に添え優雅に会釈した。
確かに華やかな美貌の女である。漆黒のチョゴリと眼の醒めるような緋色のチマという取り合わせは誰にでも着こなせるものではないが、香月は見事に着こなしている。