遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第8章 終焉
「真実を話さなければ、どうなったと思うんだ? ああでもしなければ、若さまはお前との恋を成就させようと突き進んだだろう。誰も何も知らなければ、それでも良かったかもしれない。だが、俺は知ってしまったんだ。若さまがお前の実の兄だと知りながら、大切なお前が実の兄さんと愛し合うのを黙って見ていられるはずがない」
梨花の初めての宿下がりの日、南斗が兄を訪ねてきたことがあった。あの時、兄にすげなく突っぱねられた南斗は失礼だと気を悪くした風もなく、言ったのだ。
―兄にとって、妹は宝物のようなものなんだ。この世のどんなものからも守ってやりたいと思うほどにね。
あの科白に、南斗自身に妹がいるのかと一瞬、思い込みそうになったのだが、あれは確かに彼の偽らざる想いに相違なかった。十一年前、生き別れになった実の兄ソンジュンの妹梨花に対する気持ちだった。
「―」
梨花の初めての宿下がりの日、南斗が兄を訪ねてきたことがあった。あの時、兄にすげなく突っぱねられた南斗は失礼だと気を悪くした風もなく、言ったのだ。
―兄にとって、妹は宝物のようなものなんだ。この世のどんなものからも守ってやりたいと思うほどにね。
あの科白に、南斗自身に妹がいるのかと一瞬、思い込みそうになったのだが、あれは確かに彼の偽らざる想いに相違なかった。十一年前、生き別れになった実の兄ソンジュンの妹梨花に対する気持ちだった。
「―」