遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第8章 終焉
梨花は言葉もなく、ただ、ひっそりと涙を流した。
ソルグクの言葉はいちいち、もっともだ。梨花が引き離された妹だと知ったことで、南斗は初めて、この恋がけして実らないと悟った。もしソルグクが真実を話さなければ、南斗は焔のような情熱で梨花を求め続け、やがて二人は夫婦となり、けして越えてはならない一線を越えていただろう。
ソルグクには、その時、南斗に真実を告げるしか、すべはなかったのだ。逆に梨花に真実を告げたとしても、何も知らない南斗があっさりと梨花との恋を棄て去るとは思えない。
「ごめんなさい。一方的にお兄ちゃんを責めるようなことを言ってしまったわ」
ソルグクは儚い笑みを刻んだ。
「お前が謝る必要はないさ。やはり、謝るのは俺の方だ。俺はお前から大切な男を―実の兄と恋人の両方を奪った」
ソルグクの言葉はいちいち、もっともだ。梨花が引き離された妹だと知ったことで、南斗は初めて、この恋がけして実らないと悟った。もしソルグクが真実を話さなければ、南斗は焔のような情熱で梨花を求め続け、やがて二人は夫婦となり、けして越えてはならない一線を越えていただろう。
ソルグクには、その時、南斗に真実を告げるしか、すべはなかったのだ。逆に梨花に真実を告げたとしても、何も知らない南斗があっさりと梨花との恋を棄て去るとは思えない。
「ごめんなさい。一方的にお兄ちゃんを責めるようなことを言ってしまったわ」
ソルグクは儚い笑みを刻んだ。
「お前が謝る必要はないさ。やはり、謝るのは俺の方だ。俺はお前から大切な男を―実の兄と恋人の両方を奪った」