遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第8章 終焉
幼い兄妹が庭で戯れていた。
二人の頭上には見事な枝ぶりの桜が満開に花をつけ、時折、風もないのにはらりと薄紅色の花びらが舞う。
地面には隙間もないほどに桜貝の花片が散り敷いていた。
五歳ほどの妹は一心に花びらを拾い集めては、せっせと糸に通している。兄の方は十二、三歳にはなるのか、花冠を作る妹を優しい瞳で見守っていた。
小さな手が器用に花びらの冠を作り上げてゆく。やがて、妹は嬉しげに完成した花冠を見せると、兄が幼い妹の頭に乗せてやる。
「小花、とてもよく似合っているよ」
「これをつけると、花嫁さんみたいでしょう?」
兄は微笑む。彼の小さな妹が美々しい婚礼衣装を纏った花嫁に憧れているのを知っていたからだ。
二人の頭上には見事な枝ぶりの桜が満開に花をつけ、時折、風もないのにはらりと薄紅色の花びらが舞う。
地面には隙間もないほどに桜貝の花片が散り敷いていた。
五歳ほどの妹は一心に花びらを拾い集めては、せっせと糸に通している。兄の方は十二、三歳にはなるのか、花冠を作る妹を優しい瞳で見守っていた。
小さな手が器用に花びらの冠を作り上げてゆく。やがて、妹は嬉しげに完成した花冠を見せると、兄が幼い妹の頭に乗せてやる。
「小花、とてもよく似合っているよ」
「これをつけると、花嫁さんみたいでしょう?」
兄は微笑む。彼の小さな妹が美々しい婚礼衣装を纏った花嫁に憧れているのを知っていたからだ。