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「俺はお前の言うことを信じる。お前は両親と乳母をそいつらに殺された。だから、敵討ちをしたんだな」
「敵討ちは人殺しの理由にはなりません」
　小さな声で呟いた梨花の髪を少年が撫でた。その手つきは、かつて兄が〝小花〟と呼んで、梨花の頭を撫でてくれたときの手つきにあまりにも似ていて。
　梨花は涙が溢れそうになる。
「お前の名は？」
「梨花」
　梨花という名をつけてくれた両親は既にこの世の人ではない。実の娘のように愛情を注いでくれた乳母もいなくなった。たった一瞬で、梨花は大切なものをすべて失ってしまった。
　涙を堪える梨花に、少年が子どもとは思えない静かな声音で告げた。
「忘れろ、すべて忘れるんだ」
　少年が耳許で囁いた。