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遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~

第2章 転生

 地面を血の色に染めて倒れていたスンチョン、その傍らで薄紅色の可憐な花をつけていた海棠。薄紅の花にも、夜目にもはっきりと判るほど鮮やかな血が飛び散っていた。
 男たちが小雨の中で掲げていた松明の焔が現身(うつしみ)からさまよい出た亡き人の魂のように、儚くも美しく燃え盛っていたのだ。
 幾つもの夜を重ねたとしても、自分がこの手で殺した男たちの顔も含めて、けして忘れられないだろう光景であった。

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