遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第2章 転生
「心配しなくても良い、親父(アボジ)とお袋(オモニ)には俺から話しておくから」
想いに沈む梨花の耳に、少年の労りのこもった声が温かく響いた。その声は恨みや憎しみ、絶望に凝り固まった幼い梨花の心を溶かし、温かなものを呼びさますようだった。
少年―ソルグクの言ったとおり、梨花はその話を二度する必要はなかった。
梨花が最初に眼にした夫婦は、ソルグクの両親であり、名をソギョンとヨンオクといった。二人共に働き者の気の好い夫婦であった。
ソルグクが恐らくは父母にすべての事情を話したに違いなく、ソギョンは梨花の頭を撫でてこう言った。
「ソルグクがお前を連れてきてから、目ざめるまで、お前は三日間も眠りっ放しだった。正直、この子はもう二度と眼を覚まさないのではないか、このまま死んでしまうのではないかと思っていた。可哀想に、年端もゆかない身で、どれほどの哀しい想いをしたのだろうな。
想いに沈む梨花の耳に、少年の労りのこもった声が温かく響いた。その声は恨みや憎しみ、絶望に凝り固まった幼い梨花の心を溶かし、温かなものを呼びさますようだった。
少年―ソルグクの言ったとおり、梨花はその話を二度する必要はなかった。
梨花が最初に眼にした夫婦は、ソルグクの両親であり、名をソギョンとヨンオクといった。二人共に働き者の気の好い夫婦であった。
ソルグクが恐らくは父母にすべての事情を話したに違いなく、ソギョンは梨花の頭を撫でてこう言った。
「ソルグクがお前を連れてきてから、目ざめるまで、お前は三日間も眠りっ放しだった。正直、この子はもう二度と眼を覚まさないのではないか、このまま死んでしまうのではないかと思っていた。可哀想に、年端もゆかない身で、どれほどの哀しい想いをしたのだろうな。