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　梨花は、否、海棠は都の片隅で今までとは全く違った人生を歩み始めた。
　その後、彼女は突如として彼女の人生を激変させたこの事件のあらましを知ることになる。
　梨花がソルグクに助けられ眠っていた間に、兵曹判書林成水を襲った事件は都中にひろまっていた。まず、当主の成水を初め、夫人を殺害したのは名前すら判らない盗賊の犯行とされた。事件が起こったのは小雨の降る深夜であり、しかも当主夫妻を初め、屋敷中の使用人すべてが惨殺された。
　従って、凶行に及んだ賊一味の顔を見た者はおらず、事件のあった翌朝、都外れで不審の死を遂げていたならず者三人組の男たちとこの事件を結びつけようとする者はいなかった―。
　捕盗庁(ポトチヨン)の調べにより、兵曹判書一家が殺された件は、物盗りによるものと発表され、事件はひとおりの終結を見た。