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遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~

第3章 運命の邂逅

 梨花が憤慨して言うのに、ソルグクは強いまなざしで梨花を見据えた。
「俺は施しは要らないと言ったはずだ。忘れたのか?」
 どうやらソルグクもこの医者に往診を頼んだというのがあの男だと見抜いているようだ。
「今はつまらない意地を張ってる場合じゃないでしょう。施しでも何でも、そんなことは関係ないわ。折角こうしてお医者さまが来て下さったのだから、お父さんを診て頂きましょうよ」
「海棠! 俺は」
 まだ言い募ろうとするソルグクには頓着せず、梨花は医者だと名乗る男に頭を下げた。
「先生、病人はこちらです。どうか診てやって下さい」
 二人が言い合っているその後ろで、ソギョンは高鼾をかいて眠っていた。

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