遠い約束~海棠花【ヘダンファ】~
第3章 運命の邂逅
ソルグクの脳裡に、あの男―梨花を掏摸から助けたという青年の顔が甦った。確かに、いかにも女の好みそうな類の男だ。洗練されていて、それでいて男らしい凛々しさも兼ね備えている。まさに、理想の男というやつだろう。
一見して、妹を託す相手として反対する理由はなさそうにも思える。漆黒の双眸には理知の光が宿り、歳相応の分別もあるようだし、ソルグクが最も嫌う金持ちの男にはありがちな高慢さ、浅薄さも全く感じられない。
むしろ、挙措にも誠実な人柄が如実に表れていた。
しかし、ソルグクの中では、あの男を見たときから、警鐘が鳴っていた。何故なのかは、彼自身にも判らない。
強いて言えば、あの男には何かしら暗い翳のようなものが纏いついているような気がしてならなかった。上手く言えないのがもどかしいが、不幸な星を生まれながらに背負っている、とでも言えば良いのか。
一見して、妹を託す相手として反対する理由はなさそうにも思える。漆黒の双眸には理知の光が宿り、歳相応の分別もあるようだし、ソルグクが最も嫌う金持ちの男にはありがちな高慢さ、浅薄さも全く感じられない。
むしろ、挙措にも誠実な人柄が如実に表れていた。
しかし、ソルグクの中では、あの男を見たときから、警鐘が鳴っていた。何故なのかは、彼自身にも判らない。
強いて言えば、あの男には何かしら暗い翳のようなものが纏いついているような気がしてならなかった。上手く言えないのがもどかしいが、不幸な星を生まれながらに背負っている、とでも言えば良いのか。