テキストサイズ

359°

第5章 甘い香りとしょっぱいキス

「あのパティシエの人と知り合いだなんて知らなくて…」

「いや、行くまでオレも知らなかったから、木下が責任感じることじゃないよ」

「…」


少し沈黙が訪れた。


「何か、あったの?」

「…」

「あたしじゃ、役不足かな?」


木下の足が止まった。
オレもつられて止まる。

木下は俯いたままだ。
オレの反応が怖くて、顔をあげられないといった感じ。



「…ごめん、そのことはオレ自身の問題だから…」



オレがそう言うと、木下は更に肩をすくめて俯いた。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ