
359°
第5章 甘い香りとしょっぱいキス
あーなんかイライラする…
お遊びなら、誰がボーカルになってもいいのかよ…
ちくしょ…
「坂本くん、今日はもう帰ろうよ」
オレが俯いてると、木下が話しかけてきた。
「なんか、話進まないし…」
「…ん、そだな」
木下だけだ…
オレを気にかけてくれるのは…
オレと木下は席を立った。
「あ、打ち合わせしねーのか?」
菅生さんはシレッと言う。
「…また明日来ます」
黙って去るオレの代わりに、木下が言った。
「はい、じゃあまた明日~」
菅生さんの呑気な声が聞こえた。
