
359°
第5章 甘い香りとしょっぱいキス
オレは呆然としながら席に戻った。
隣ではすでに選曲について盛り上がっている。
「やっぱ盛り上がる曲がいいよなー」
「あ、じゃあオレ、一回やってみたかった曲あるんす!」
「なになに?」
「ビークルの『HIT IN THE USA』!去年他校の文化祭ライブで見て、めっちゃ盛り上がったからやってみたいんす♪」
「BEAT CRUSADERSか…俺らもお面被ってやるか?」
順平の言葉に、サラリーマンの兄ちゃんが反応した。
「あ、いいっすねw それマジ受けますよwwww」
お面?
なんじゃそりゃ…
オレはテーブルに置かれた水を飲み干した。
