
359°
第5章 甘い香りとしょっぱいキス
《卓也side》
木下と別れた後、オレはまっすぐ家に帰った。
あれからずっとムシャクシャしたままだ。
自分の部屋に入り鞄を放り投げ、ベッドに寝ころぶ。
正直、順平が羨ましかった。
ボーカルやりたいって素直に言えて…
オレだって本当は…
「あ~クソッ…」
オレはガバッと起き上がって、姉ちゃんの部屋に向かった。
ノックするが、返事はない。
しめしめと思い、部屋の中に入った。
椅子に座り、パソコンを立ち上げる。
インターネットで『HIT IN THE USA』と検索してみた。
「…いっぱいあるじゃん…」
YouTubeの動画がいっぱい出てきた。
どの動画も、なぜか人物の顔が四角いお面で隠れてる。
「…んだ、これ…」
プッと吹いた。
お面の紙には、それぞれの本人の顔が描かれていた。
ライブバージョンは合成だなw
