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第5章 甘い香りとしょっぱいキス



「じゃあ僕も帰ります」


ずっと黙っていた蒼士が立ち上がった。



「悪かったな、お前まで巻き込んじゃって」

「いえ…あいつがどう反応するか正直、楽しみなんでいいですよ」



クールな蒼士が、フッと笑った。



「拓哉さん…」

「ん?」

「僕…あいつの声、嫌いじゃないですよ」

「…」

「…じゃ」



俺は蒼士の背中を見送った。



「…決まりだな」


龍がコップを片付けながら言った。



「卓也をぜってぇ~ボーカルにしてみせる」



その言葉に、俺の胸は高鳴った。




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