359°
第5章 甘い香りとしょっぱいキス
エプロンに着替えてキッチンに行くと、すでに完成した手作りクッキーが置いてあった。
「これ、菅生さんが?」
「おう、俺の試作品。食べてみるか?」
そのクッキーは、桜の型をしたピンク色のクッキーだった。
「かわいい~」
木下がそう言う横で、オレはクッキーを口に含んだ。
サクサクした食感と甘い…だけどほんのりしょっぱい味に、衝撃を覚えた。
「どうだ?」
「…やべぇ、マジうまいっす///」
素直にそう言うと、菅生さんは「ハハッ!」と笑った。
「こういう時は素直なんだな」
オレの顔を覗き込みながらそう言って、頭をポンポンと叩く。