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第6章 熱意と決意
「その子はミニウサギの女の子だよ」
おじさんは笑った。
「…あれ?よく見たらこの子、頭に少し金髪混じってない?」
キミイさんがそう言うので見てみたら、ほんとに少し、縦に金髪が混じってた。
「ほんとだ、何気にかっこいいっすね。なんか菅生さんみたいっすね」
「はは、金髪だからって、何でも俺と一緒にすんじゃねぇよ、卓」
ガッと首に腕を回される。
「うえ、苦し…」
そうオレと菅生さんがふざけ合ってる横で、キミイさんは愛おしそうにその黒うさぎを見つめていた。
「…ねぇ、龍ちゃん」
「ん?」
「この子、飼っていい?」
「…」
ピタッと菅生さんの動きが止まる。
「私、この子が欲しい」
「…」
「…駄目かな?」
寂しそうな表情を浮かべるキミイさん。
「キミイ…」
菅生さんの表情がなぜか堅くなった。
けど、すぐに和らぐ。
「…わかったよ、好きにしな」
「龍ちゃん!」
キミイさんの顔がほころんだ。
