
359°
第6章 熱意と決意
よく見るとおじさんの足元に、『ペットショップ 月夜野』と書かれた木箱が置いてあった。
そういえば駅前に小さなペットショップ屋があったな…
一回も入ったことなかったけど…
「そっか、みんな引き取られたんだね…」
キミイさんは寂しそうに呟く。
「実は経営が苦しくてね…ほら、近くにホームセンターが出来ただろう?あの影響で客がパッタリ来なくなってね。だから、これを機に店を閉めようかと思ってね…」
「そうなんですか…」
「どうだい?君たち、良かったらこの子たちを引き取ってくれないか?安くしとくよ」
「えっ…」
オレは残されたうさぎたちを見つめた。
つぶらな瞳に、ピンと立った耳…
もぐもぐした口元…
めちゃくちゃ可愛すぎる!
だけど飼育するとなるとなぁ…
オレめんどくさがり屋だし…
無理だろな…
「なに、うさぎ?」
突然オレとキミイさんの間から、菅生さんが割って入ってきた。
「へぇ、こいつかっこいいじゃん」
そう言って黒いうさぎの頭を撫でる。
