359°
第6章 熱意と決意
「あ、そういえば拓哉くんと蒼士くんは?」
キミイさんが周りをキョロキョロ見回す。
「ああ、あいつら、ナンパされてたから置いてきた」
「は?ナンパ?」
オレはなぜか過敏に反応してしまった。
「さっきはかっこよかったですぅ~って二人組の女の子が話しかけてきてさ…俺のドラム裁きに惚れたかと思ったら、なぜか俺だけ眼中なしでよぉ」
そう言って菅生さんは口を尖らせる。
「あは、龍ちゃんの場合、見かけが怖いからね~」
「あぁ?金髪なんてどこにもいんじゃんよ」
「今時オールバックしてる金髪なんて、お笑い芸人くらいでしょ」
「ぶっ…」
オレは思わず笑ってしまった。
キミイさん、ナイスwww
「あぁ、今お前笑ったな!?」
菅生さんが睨んでくる。
「わ、笑ってないですよ」
「バレバレだっつーの」
そう言ってまたオレの首に腕を回す。
「くすぐりの刑じゃ」
「わっ、やめっ…」
逃げる間もなく、菅生さんの手がオレの脇腹をくすぐりだした。