359°
第6章 熱意と決意
「俺たちのことを知ってもらうには、ライブをするのが一番だからね」
「そうなんですか…」
「…てことで、明日からスタジオで練習始めっからなぁ~」
菅生さんがニカッと笑った。
スタジオで練習…
ライブ…
その言葉で、オレの胸が高鳴り始める。
そうだ、オレはもう、
【REAL AND GLAY】のボーカリストなんだ…
なんだかまだ信じられなくて、オレはみんなの顔を交互に見つめた。
「ほんとに…オレでいいんですか?」
「ばか、今更なに言ってんだよ」
菅生さんが笑いながら言う。
「まぁ…やめるなら今のうちだけど?」
やっぱり蒼士は嫌みを言う。
オレは高藤さんの顔を見上げた。
高藤さんはオレを包み込むように、優しい眼差しでオレを見つめていた。
「俺が欲しいのは、君の声だから」
そう言われ、オレの心臓はドクンッと波打った。
高藤さんの瞳が、オレを捉えて離さない。
優しいけれど、だけど意思のある強い瞳。
高藤さんの本気さを感じる…
オレの胸は熱くなった。