359°
第8章 過去と現在
アパートに帰ってくると、部屋の電気がついていた。
「…ただいまー」
「あ、おかえり、龍ちゃん」
キミイが笑顔で迎えてくれる。
少し動物臭いニオイがした。
リビングにはうさぎ用のケージが置かれており、その中には卓也の学校の文化祭で買った黒うさぎが入っている。
「お、ウサ之助、ついにきたな」
「龍ちゃん、この子メスよ?」
「メス?んじゃあ~、ももウサ」
「ももウサ?」
「ももクロから取ったんだよ」
「え~、龍ちゃん…いつの間にアイドル好きになったのよ…」
「かわいいじゃん、キャピキャピしてて」
俺は金髪の混じった黒うさぎの頭を、優しく撫でた。