
359°
第8章 過去と現在
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「よぉ、蒼士、今日も練習か」
「頑張れよっ」
行きつけのスタジオで、知り合った人たちが声をかけてくれる。
ここは僕にとって、唯一落ち着ける場所だ。
受付を済ませた後、あらかじめ予約していた部屋に入る。
早速準備にかかろうとすると、部屋の電話が鳴った。
「はい」
『ああ、蒼士くん。なんか君の知り合いが来てるんだけど、入れてもいいかい?』
知り合い?
誰だ…
「…ええ、いいですよ」
拓哉さんたちかな…。
電話を切ってアンプにシールドを繋げていると、部屋の扉がゆっくりと開いた。
