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359°

第3章 高まりと迷い


「あ、ちょっと待って」


サラリーマンの兄ちゃんはそう言うと、オレの元に歩み寄った。
そして、マイクを握るオレの手にそっと触れる。


「!?」

「マイクは…」


え?え?


「こうやって自分と直角、地面と平行に持って、口が触れるくらい近づけて歌うといいよ」


そう説明しながら、その角度に動かす。
微かに香水の匂いが漂った。


オレの心臓はなぜだかドキドキし出す。


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