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キレーな顔した狼さん。

第13章 10匹目

「えっ…み、みみ見たって…アレって!?」

湊さんは口をパクパクさせている

「だから、汐里のチン…「ちょよよおっと待ったああっー」」

ハァハァと息を荒く吐きながら俺は瑠樹の言葉を予測して、遮った

あ、あっぶねーっ!
こいつ…何言ってやがるっ!

「ちょっと、汐里?うるさいんだけど…」

「お、おま…何を…」

「だーかーらー、湊さんが汐里のチ…「うわぁぁあぁーっ」」
ボフっ

「もーっ!お前しゃべんなっ!」

瑠樹の口を両手で塞ぎながら、涙目で叫ぶ俺…

…もー終わった…何か…全部終わった…

ぐったりと項垂れる俺へ、湊さんは口を開く

「あ、あの…」

ビクっ

湊さんの言葉に体を震わせる俺の耳に、思わぬ台詞が届く

「あたし、別にそーゆーの偏見とか無いし…良いんじゃない?」

「……え?」

「それにっ、職場にも1人くらい知ってる人がいるほうが働きやすいだろうし?」

「え…じゃぁ…」

「うん、あんた逹が黙ってて欲しいなら黙っとくよ」

その後に「あたし、口は固いよ?」と言う今の湊さんは、俺には神様に見えた…気がした

でも、見られたのに変わりは…
うん。考えるのは止めよう。

「汐里、そろそろ手…離して?」

そんな考えにたどり着いた俺に向けて、瑠樹のこもり気味の声が掛けられた

「あ、ごめんっ」

どーやら、瑠樹の口を塞いだままにしていたらしい

急いで手を離すと、瑠樹はフゥ~なんて息を吐きながら口を開いた

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