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キレーな顔した狼さん。

第15章 12匹目

「将君の……バカぁっ!」

友見と呼ばれたその女の子は…間違いなく、マサの彼女の友見ちゃんだった。

友見ちゃんは涙目でそう叫ぶと、教室を走って出ていってしまう。

「あっちょ、友見っ!?」
─ガタッ

「え!?マサ!?」

勢いよくイスから立ち上がったマサを、俺は呼び止める。

が、

「わり、俺ちょっと行ってくるわっ」

と言葉を残してマサも教室から出ていった。

「なんなんだよ…」

マサの言った言葉の続き。

その先を予想した俺は、ブンブン首をふってその予想を打ち消した。

そんなはず……無い。

─結局マサと友見ちゃんは、
あれから帰って来ずに

帰ってきたのは4時間目の授業の終わりを告げる鐘が鳴った後だった──

「ごめんな、汐里。」

教室に戻って来たマサは、真っ先に俺の所へきて謝った。

「いや、いいよ。別に。それより…」

さっきの話の続きを聞こうとしたが、
マサは俺が話終わるのを待たずに
話し始める。

「ごめん、汐里!
俺これから友見と昼だから…
もー行かねーと…」

「あ…そっか。」

俺も瑠樹を待たせてっし…

行かねーとな。

「じゃーな。」

マサは嬉しそうに微笑むと、
また、教室をでていく。

「しゃーない。俺も行くか。」

マサを見送った後、俺も弁当箱を、もって屋上に向かう。

俺と瑠樹は…何処で集合とか…
そんな会話を殆んどしない。

それは、2人で会うときは、
いつもあそこと、口に出さなくても2人とも理解していたから。

それが、俺にとっては、
堪らなく嬉しい事でもあった。

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