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キレーな顔した狼さん。

第17章 13匹目

はぁ~…
まぢで身体ダリィな…

身体の怠さに昼休みの事を思い出してしまって咄嗟に首をふる。

くっそ、出てくんなぁーっ!

脳内に浮かぶ、最中の瑠樹の顔や、
幻聴のように聞こえてくる瑠樹の声を必死に追い出そうとしていた。

そんな時、不思議そうに俺の事を見てたマサが不意に前を向くと何の気なしに口を開いた。

「あ、あれ…瑠樹君?じゃね?」

「え…」

瑠樹という単語に反射的にその方向を見る。

……は?

「え…どゆこと?」

どうやら、目の前の光景にマサも俺と同じ事を思ったらしくポツリと呟いた。

校門前に止められた、真っ黒な車に瑠樹と瑠花が順番に乗り込んだ。

しっかりとドアの横で待機していた男の人がそれを確認すると静かにドアをしめる。

「例の転校生ちゃんも居た…よな?」

「お、おう…」

車へ乗り込む二人の険悪なムードに、俺たちは疑問しか抱けない。

呆然と車を見つめる俺に、マサは怪訝な表情を向ける。

「汐里…お前、何か知らないのか?」

「…さぁ?」

車が動き出して見えなくなるまで、俺はただ見つめる事しかできなかった。

…なんであんな立派な車に…しかも執事?みたいな人も居て…

瑠花はともかく、瑠樹まで同じ車に?

二人は歩いて帰るんじゃないのか?
…いや、むしろ…何処へ帰るんだ?

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