無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

　璃乃さんはあんなコト言ってたが
　男性利用客の視線は
　ほとんど璃乃さん目当てだった



　本人が言ってた通り
　振りまくほどの笑顔はないけど
　所作も完璧で早い

　ミスをしないように
　ぎこちない動きの私とは
　大違いだった

　彼女がうっすら微笑むのを
　見たいがために
　男性客の多くはきていた



　余談だが
　兄妹で経営してるこのお店は
　べっぴんさんの妹を持つ
　お兄さんのほうも
　女子に根強い人気がある

　妹ばりの整った顔立ちで
　妹より幾分社交性があるから
　大人な男性なのもあって
　若い女子に絶大な支持がある






　二人共いい人で
　私は美春さんの知り合い
　というコトもあって
　気兼ねしてしまうくらい
　とてもよくされていた






　少しずつお客が増え始めた
　時間を見ると
　正午を回っている



（そろそろ…かな…？）



　私は無意識にうきうきして
　自然笑顔を振りまく

　ゆきくんは
　私がシフトしてる時
　ほぼ確実にきてくれる



　どんなにお店が忙しくても

　おうちで一人
　お昼食べるのに比べたら

　ずっといい

　席のご案内、注文
　提供、お会計
　業務対応しかできなくても
　一目会えるだけで私は嬉しかった