美人妻は性欲旺盛っ!
第20章 回想
あの頃は彼氏と別れるなんて思いもしなかった
三年の先輩、浅葉幸人
初めて会ったのは
保健室だった
先生がいないのに、あの人は階段から転がり落ちたらしく、足の生々しい怪我を放置して窓をぼっと見ていた
なんて自分に無関心な人だろうと初対面で思った
見かねた私は手当てして、怒りながら手当てをして、目上の先輩という事も忘れて叱っていた
包帯を巻き終えて顔を上げると
驚くほど整った顔が、少しだけ口元で笑っていた
私はそれに見とれた
本当に気づかなかったのだ
こんな目と鼻の先
息が触れ合う距離になるまで
私は反応できなかった
あの人の唇が
私の唇に吸い込まれるように
キス、してしまった
上手く思考できなくて
言葉が出てこなくて
顔ばかりが熱くなった
先輩は私の手を握り
好きかも、と
私に聞こえる声で言った
わけもなくイケメンに自分の顔をじっと見つめられて
カァッと赤くなる
意味がわからなくて
からかわれたと思って
私は先輩をひっぱたいた